草原にいる

雑文を書きます。

2021-01-01から1年間の記事一覧

夜2

最近は夜になるとあたりに甘いにおいがたちこめて、まるで楽園にいるような気がするのです。そんな夜に道を歩いて、建物がうちこわされただだっ広い空き地に突き当たると、なんだかたまらず泣きそうになるのです。 疲れ切ったコンクリートと材木のうらぶれた…

怒られた

直属の上司が隣の席に座っている。兄と同じ年齢で、雰囲気もどことなく似ているため気軽に接することが出来る。 気軽すぎて、「もちろん俺らは抵抗するで?拳で」と言ったら怒られた。

井の頭公園の記憶

井の頭公園を歩いていたら、白髪の人間がしゃがんでうつむいていた。男か女かは暗かったのでよくわからない。甚平のような褐色の古ぼけた服を着ていた気がする。年齢もよくわからなった。髪の毛を見れば一見年寄りのように見えたが、腕や足はすべすべとして…

時間を消費するように生きている

4連休を経て得たもの。 きれいになった部屋。新しい靴。斎藤茂吉『赤光』。吉本ばなな『SLY』。筒井康隆『旅のラゴス』。『すばる2020年5月号』。同人誌に寄せる戯曲のための2,3のメモ。メルカリで売ったTOEICの本の売上275円。出先で買ったライター。明け方…

悪夢

昨日16:00から例のワクチンを打った。その帰りにドラッグストアでスポーツドリンクやウイダーを買い込み、備えを万全にした。 また、ワクチンの前に美容院でパーマをかけてもらった。次の出勤時に上司に「ワクチン打ったらこうなりました」と小ボケをかます…

カレー

最近職場の近くにカレー屋を見つけて、時折昼ご飯を食べに行くようになった。 1970年からやっているらしい。おばあちゃんが一人でやっている。 メニューはカレー一品のみだが、付け合わせが10種類くらいでかけ放題。 きゅうりと唐辛子の漬物がおすすめである…

自己肥大嗜好、あるいは歯車嗜好?

一日暇になってしまったので、久しぶりにだらだらとしていた。 するべきことは山ほどあるので暇ではないのだが、何一つ手が付けられていないので暇というよりほかはない。 家に一人で引きこもっているとき、よくハウルの動く城の一室にいる妄想をする。今自…

私は22年間閉じ込められていた

仕事帰りに久しぶりに実家に寄った。 読みたい資料を取りに行ったが見つからなかった。 大学の社会哲学の授業資料で、ソクラテスの死の瞬間を描写した文章があったはずなのだが、どうやら捨ててしまったみたいだ。代わりに過去に出演した公演の台本と、親に…

毎日昼ごはんを買っているお弁当屋さんで、秋の総菜弁当が売っていた。炊き込みご飯とレンコンの天ぷら、鳥の煮つけ、山芋の煮物が入っていてとてもおいしい。 毎年、秋の記憶が薄い。秋は本当は無くて、夏の終わりと冬の始まりしかないから。

毒を飲む

頭痛の中に甘美な瞬間がある。 換気扇も切った静かな雨の夜に、横に臥してぼんやりと仄暗い部屋を眺める。 血管の脈動に合わせて、黒い波のような痛みが心を暗くする。口腔が溶け出して何やら熱いものが息から漏れる。この熱いものは痛みそのものだ。熱い息…

落として割る

最近よく食器を割る。 ググってみると、「身代わり」「注意喚起」というワードが出てきた。自分の代わりに食器がアクシデントを引き受けてくれ、自分に災いが降りかからないようにしてくれているらしい。 少し寂しくなった食器棚を見て、残機が減った気がし…

ワークショップに参加した

先日観た『丘の上、ねむのき産婦人科』を演じてみようという会があったので参加した。 自分が演じたのは、カップルがコメダ珈琲で子供を産むべきかどうか議論する場面。女性側は日本の暗い未来の中に子供を放り出すべきではない、自身の生い立ちを理由に、生…

あわいの日

昨日は22時前に寝落ちして、3時に起きた。朝6:30から散歩をする。こんなに朝早く外出するのは久しぶりだ。 金木犀の香りと蝉の声が一緒になった、不思議な日だった。あわいの日。自分は永らく、あわいにいる気がする。夏と秋の間。子供と大人の間。 夕方から…

脳がじゅくじゅくと膨らんで枕を融かす夜がある。 暑い夏の夜なんかもそうで、今日みたいなひんやりとした静謐の夜なんかも、なおさらそうだ。目が体の奥から押し出されて、何も見えなくなる。 こうなったら酒を入れて脳みそを冷まそう、と一杯ごくりと飲ん…

線香花火

線香花火を買って、一日の終わりにベランダで一本だけ火をつける。 夏だからとか、この線香花火が終わったら秋が来るとか、なるべく変な意味づけをしないように、そっと、ありのままの時間を感じるようにゆっくりと火をつける。 火が付いた一瞬だけ、乱暴な…

頑張るぞい

演劇しようかな。 あとは司書資格もとる。基本情報と応用情報もとる。頑張る時期に来た気がする。

先人の知恵

「子供の頃は、大人というのはもっとちゃんとしていると思っていた。子供の頃と何も変わらないまま大人になってしまった自分に愕然とする。」 大人になるとみんな、多かれ少なかれこんなことを感じるらしい。自分のダメさに辟易してしまうようだ。 僕も例に…

チョコレート

帰宅中、自宅の最寄り駅を降りるとチョコレートがひとかけらホームに落ちていた。 家路を急ぐ人々の喧騒の中で、誰の記憶からも抜け落ちたかのようにその周囲だけ誰も通らない空間ができていた。 このチョコレートはきっと、明日の朝にはなくなっているのだ…

本の山

日曜日の朝に銭湯に行く帰り、古本の即売会に寄った。古本屋に足繁く通う以前よりも、見たことのある本や著者が増えてますます楽しくなっている。 13冊で1,750円。状態の良いハードカバーを交えても、1冊150円以下という驚異的な安さである。 本に埋もれて死…

三日坊主

毎日何か文章を書こうと言っておきながら、結局三日坊主で終わってしまっている。 三日坊主であることに慣れすぎて、今更焦りも落胆もない。私は私を許している。

落語を聞く

落語を聞きに演芸場に行きたいと事あるごとに言っていたが、そういえば家でいつでも聞けるじゃないかと、Apple Musicで落語を聞いてみた。 ひとまず公式のプレイリスト「古典落語 ベスト」より桂歌丸の「火焔太鼓」と入船亭扇辰の「目黒のさんま」を聞いた。…

春に

昨日は早速寝落ちて日記を書くことができなかった。春は眠いししかたない。 最近3日連続で自分の住む三鷹市で痴漢が出たというニュースが流れてきた。春のせいだろうか。治安がすこぶる良いと思っていただけに残念である。頑張れ三鷹、負けるな三鷹。

食べ物

毎日1文でもいいので何か書き続けてみようと思う。 職場の同期が「昼食をお弁当にすると食費がかなり減る」と言っていたので、やってみようと思い立ち、お弁当箱を買うお金が惜しくて早3か月がたった。来週はお弁当箱2個分の舞台を観に行く。 今年は夏祭りは…

銭湯

本日も銭湯に行った。自宅を出て3分ほど自転車を走らせた先にある、至って普通の銭湯である。番頭の女将さんと二言三言立ち話をする。目の手術を受ける予定であったが、コロナのせいで延期にしたらしい。 3日前にも銭湯に行った。同じく3分ほど、煙草をふか…

『壺の中にはなにもない』

『壺の中にはなにもない』(戌井昭人著、NHK出版)を読みました。 働く意欲も趣味も恋愛経験もなく、のほほんと暮らしている青年の成長譚です。 そのあまりにマイペースな性格から、家族や職場の人から疎まれている主人公ですが、陶芸家の祖父は彼に理解を示し…