草原にいる

雑文を書きます。

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

井の頭公園の記憶

井の頭公園を歩いていたら、白髪の人間がしゃがんでうつむいていた。男か女かは暗かったのでよくわからない。甚平のような褐色の古ぼけた服を着ていた気がする。年齢もよくわからなった。髪の毛を見れば一見年寄りのように見えたが、腕や足はすべすべとして…

時間を消費するように生きている

4連休を経て得たもの。 きれいになった部屋。新しい靴。斎藤茂吉『赤光』。吉本ばなな『SLY』。筒井康隆『旅のラゴス』。『すばる2020年5月号』。同人誌に寄せる戯曲のための2,3のメモ。メルカリで売ったTOEICの本の売上275円。出先で買ったライター。明け方…

悪夢

昨日16:00から例のワクチンを打った。その帰りにドラッグストアでスポーツドリンクやウイダーを買い込み、備えを万全にした。 また、ワクチンの前に美容院でパーマをかけてもらった。次の出勤時に上司に「ワクチン打ったらこうなりました」と小ボケをかます…

カレー

最近職場の近くにカレー屋を見つけて、時折昼ご飯を食べに行くようになった。 1970年からやっているらしい。おばあちゃんが一人でやっている。 メニューはカレー一品のみだが、付け合わせが10種類くらいでかけ放題。 きゅうりと唐辛子の漬物がおすすめである…

自己肥大嗜好、あるいは歯車嗜好?

一日暇になってしまったので、久しぶりにだらだらとしていた。 するべきことは山ほどあるので暇ではないのだが、何一つ手が付けられていないので暇というよりほかはない。 家に一人で引きこもっているとき、よくハウルの動く城の一室にいる妄想をする。今自…

私は22年間閉じ込められていた

仕事帰りに久しぶりに実家に寄った。 読みたい資料を取りに行ったが見つからなかった。 大学の社会哲学の授業資料で、ソクラテスの死の瞬間を描写した文章があったはずなのだが、どうやら捨ててしまったみたいだ。代わりに過去に出演した公演の台本と、親に…

毎日昼ごはんを買っているお弁当屋さんで、秋の総菜弁当が売っていた。炊き込みご飯とレンコンの天ぷら、鳥の煮つけ、山芋の煮物が入っていてとてもおいしい。 毎年、秋の記憶が薄い。秋は本当は無くて、夏の終わりと冬の始まりしかないから。

毒を飲む

頭痛の中に甘美な瞬間がある。 換気扇も切った静かな雨の夜に、横に臥してぼんやりと仄暗い部屋を眺める。 血管の脈動に合わせて、黒い波のような痛みが心を暗くする。口腔が溶け出して何やら熱いものが息から漏れる。この熱いものは痛みそのものだ。熱い息…

落として割る

最近よく食器を割る。 ググってみると、「身代わり」「注意喚起」というワードが出てきた。自分の代わりに食器がアクシデントを引き受けてくれ、自分に災いが降りかからないようにしてくれているらしい。 少し寂しくなった食器棚を見て、残機が減った気がし…

ワークショップに参加した

先日観た『丘の上、ねむのき産婦人科』を演じてみようという会があったので参加した。 自分が演じたのは、カップルがコメダ珈琲で子供を産むべきかどうか議論する場面。女性側は日本の暗い未来の中に子供を放り出すべきではない、自身の生い立ちを理由に、生…

あわいの日

昨日は22時前に寝落ちして、3時に起きた。朝6:30から散歩をする。こんなに朝早く外出するのは久しぶりだ。 金木犀の香りと蝉の声が一緒になった、不思議な日だった。あわいの日。自分は永らく、あわいにいる気がする。夏と秋の間。子供と大人の間。 夕方から…

脳がじゅくじゅくと膨らんで枕を融かす夜がある。 暑い夏の夜なんかもそうで、今日みたいなひんやりとした静謐の夜なんかも、なおさらそうだ。目が体の奥から押し出されて、何も見えなくなる。 こうなったら酒を入れて脳みそを冷まそう、と一杯ごくりと飲ん…