草原にいる

雑文を書きます。

短歌 2023春〜2024春先

短歌を作るのが困難になった。言葉が出てこなくなった。そんな中で絞り出したここ一年の短歌 さわやかにすこやかに都心を練り歩き湿度計に死に得る明日 爆心地のコロスはいつまでも透明いつまでも聞こえるカーテン カーテンのすそかき上げて痛む色色に今宵は…

冬春の短歌

ここ半年くらいで作った短歌 金曜日に割れたコップの予感めき私を死なす電車はこない くらやみでダンスをおどろうよ刹那で回れば呼吸もきらきらひかる 目を閉じてにどとめざめることのない蓮の景色はさわれず胎に 天王星蝕のゆびわに住む盲 天国はそこにあり…

緊張していくら飲んでも酔えないことがある

下り電車に揺られる酩酊感はとどまることを知らず、目の前のあなたの頭の中に、その隣のあなたの頭の中にも、舞い降りていく。 私は一人、酒が飲めないので一人、酔う、ということがどういうことなのか知らないまま一人、触れられない吐き気を催して一人、中…

知らない間に亡びていく

一度だけタイミーで都心の方のピザのデリバリーのバイトをしたことがある。庶民が立ち入れないオーラを放つ高級マンションに配達に行って、正面玄関から入ったらフロントの人に怒られてしまった。業者用と住人用で出入り口が違う住居が存在することを初めて…

秋冬の短歌

ここ数ヶ月で作った短歌 動かない空気に天使の降る午後二時世界はいったんここでおしまい すべて原子の結びつきのあいまいさであなたは元気わたしは呑気 いつか何もわからなくなり夕暮れる そして極北でまた会いましょう 億劫経て金剛力士像はまどろみ日差し…

流し

仕事ができる日とできない日があるけど、今日はそのどちらでもなく「やった感を出せた日」だった。すなわち大した労力をかけずにアウトプットがたくさん出たということで、実はこういう日の酒が一番美味い。 明日からまんぼうなので駆け込みで居酒屋に行った…

海のない町で大航海

気軽に海賊気分を味わう方法として、ワインをボトルから直に飲むというものがある。注意点は、赤ワインでなくてはいけないことと、時折手の甲で口を拭うこと。 最近、自分の肝臓はワインと相性が良く、飲んでもあまり酔わないことに気がついた。そのことに気…

ハッピー・ダック・フルムーン

ハッピーがあふれる会社に勤めているので、毎年お年玉抽選会がある。そしてなんと今年は僕が5等の5,000円を当ててしまった。この5,000円で何を買おうかな。気になる新刊本があるし、服もそろそろほしくなってきた。ちゃんと考えて大事に使おう。同期は1,000…

月リセッター

あらゆる「印象」なるものが何もかも嫌になることがある。今日はちょうどそんな日だった。今日出会ったのは例えば「おじさん」の印象、「家庭」の印象、「ヒトコブラクダとキャラバン隊」の印象、そのどれもがたまらなく不快で、でももう大人なのでそんなこ…

金欠は敵なんである

王子で南極ゴジラ『ホネホネ山の大動物』を観る。めちゃめちゃ良くて思わず泣いてしまった。 夜から国立で大学時代の後輩と飲む。良い夜だった。 代が被ってない後輩も途中からやって来た。そういえば僕も一年生の時、代が被ってないのに目をかけてくれた先…

だから遠藤は金欠で

モダンスイマーズ『だからビリーは東京で』を観る。モダンスイマーズを初めて見たが、めちゃくちゃ良かった。あと主人公が友達にめちゃくちゃ似ていてウケた。 夕方から山口くんと一緒に楽器屋に行く。彼から借りたクラシックギターのメンテナンスをお願いし…

結局読まない森鴎外

書き初めをする。 今年の目標は「勤倹貯蓄」と「広い視野」。 昼過ぎ、家の近くの八幡さまと、太宰治と森鴎外に新年の挨拶をしに行く。太宰治の墓はいつ行ってもウイスキーが供えられていて何だか面白い。森鴎外は昨年一つも読んでいないのでなんだか申し訳…

猿に帰った1月2日

昼過ぎから近所の神社に地元の友人と行く。本当は海の方へ行こうという話だったが、満場一致で面倒臭いということで近所をぶらぶら散歩する。 夕方から酒を飲む。当初は4人だったが、手当たり次第に声をかけたら11人になった。年末年始暇な人は意外と多い。 …

今年は眼の年

朝10:30に起きる。初日の出は見逃してしまったが、底の抜けたような青空が窓の隙間から見え、いい元旦になると確信した。今思えば10:30は元旦とは言い難い。 昼過ぎに近所の寺に初詣に行った。禅宗のその寺には幼稚園が併設され、私はそこに通っていた。もう…

夜2

最近は夜になるとあたりに甘いにおいがたちこめて、まるで楽園にいるような気がするのです。そんな夜に道を歩いて、建物がうちこわされただだっ広い空き地に突き当たると、なんだかたまらず泣きそうになるのです。 疲れ切ったコンクリートと材木のうらぶれた…

怒られた

直属の上司が隣の席に座っている。兄と同じ年齢で、雰囲気もどことなく似ているため気軽に接することが出来る。 気軽すぎて、「もちろん俺らは抵抗するで?拳で」と言ったら怒られた。

井の頭公園の記憶

井の頭公園を歩いていたら、白髪の人間がしゃがんでうつむいていた。男か女かは暗かったのでよくわからない。甚平のような褐色の古ぼけた服を着ていた気がする。年齢もよくわからなった。髪の毛を見れば一見年寄りのように見えたが、腕や足はすべすべとして…

時間を消費するように生きている

4連休を経て得たもの。 きれいになった部屋。新しい靴。斎藤茂吉『赤光』。吉本ばなな『SLY』。筒井康隆『旅のラゴス』。『すばる2020年5月号』。同人誌に寄せる戯曲のための2,3のメモ。メルカリで売ったTOEICの本の売上275円。出先で買ったライター。明け方…

悪夢

昨日16:00から例のワクチンを打った。その帰りにドラッグストアでスポーツドリンクやウイダーを買い込み、備えを万全にした。 また、ワクチンの前に美容院でパーマをかけてもらった。次の出勤時に上司に「ワクチン打ったらこうなりました」と小ボケをかます…

カレー

最近職場の近くにカレー屋を見つけて、時折昼ご飯を食べに行くようになった。 1970年からやっているらしい。おばあちゃんが一人でやっている。 メニューはカレー一品のみだが、付け合わせが10種類くらいでかけ放題。 きゅうりと唐辛子の漬物がおすすめである…

自己肥大嗜好、あるいは歯車嗜好?

一日暇になってしまったので、久しぶりにだらだらとしていた。 するべきことは山ほどあるので暇ではないのだが、何一つ手が付けられていないので暇というよりほかはない。 家に一人で引きこもっているとき、よくハウルの動く城の一室にいる妄想をする。今自…

私は22年間閉じ込められていた

仕事帰りに久しぶりに実家に寄った。 読みたい資料を取りに行ったが見つからなかった。 大学の社会哲学の授業資料で、ソクラテスの死の瞬間を描写した文章があったはずなのだが、どうやら捨ててしまったみたいだ。代わりに過去に出演した公演の台本と、親に…

毎日昼ごはんを買っているお弁当屋さんで、秋の総菜弁当が売っていた。炊き込みご飯とレンコンの天ぷら、鳥の煮つけ、山芋の煮物が入っていてとてもおいしい。 毎年、秋の記憶が薄い。秋は本当は無くて、夏の終わりと冬の始まりしかないから。

毒を飲む

頭痛の中に甘美な瞬間がある。 換気扇も切った静かな雨の夜に、横に臥してぼんやりと仄暗い部屋を眺める。 血管の脈動に合わせて、黒い波のような痛みが心を暗くする。口腔が溶け出して何やら熱いものが息から漏れる。この熱いものは痛みそのものだ。熱い息…

落として割る

最近よく食器を割る。 ググってみると、「身代わり」「注意喚起」というワードが出てきた。自分の代わりに食器がアクシデントを引き受けてくれ、自分に災いが降りかからないようにしてくれているらしい。 少し寂しくなった食器棚を見て、残機が減った気がし…

ワークショップに参加した

先日観た『丘の上、ねむのき産婦人科』を演じてみようという会があったので参加した。 自分が演じたのは、カップルがコメダ珈琲で子供を産むべきかどうか議論する場面。女性側は日本の暗い未来の中に子供を放り出すべきではない、自身の生い立ちを理由に、生…

あわいの日

昨日は22時前に寝落ちして、3時に起きた。朝6:30から散歩をする。こんなに朝早く外出するのは久しぶりだ。 金木犀の香りと蝉の声が一緒になった、不思議な日だった。あわいの日。自分は永らく、あわいにいる気がする。夏と秋の間。子供と大人の間。 夕方から…

脳がじゅくじゅくと膨らんで枕を融かす夜がある。 暑い夏の夜なんかもそうで、今日みたいなひんやりとした静謐の夜なんかも、なおさらそうだ。目が体の奥から押し出されて、何も見えなくなる。 こうなったら酒を入れて脳みそを冷まそう、と一杯ごくりと飲ん…

線香花火

線香花火を買って、一日の終わりにベランダで一本だけ火をつける。 夏だからとか、この線香花火が終わったら秋が来るとか、なるべく変な意味づけをしないように、そっと、ありのままの時間を感じるようにゆっくりと火をつける。 火が付いた一瞬だけ、乱暴な…

頑張るぞい

演劇しようかな。 あとは司書資格もとる。基本情報と応用情報もとる。頑張る時期に来た気がする。