草原にいる

雑文を書きます。

秋冬の短歌

ここ数ヶ月で作った短歌

 

動かない空気に天使の降る午後二時世界はいったんここでおしまい

 

すべて原子の結びつきのあいまいさであなたは元気わたしは呑気

 

いつか何もわからなくなり夕暮れる そして極北でまた会いましょう

 

億劫経て金剛力士像はまどろみ日差しも苔むす週末、森で

 

黒靄はそれを見つめる手に馴染む巨大迷路に情感はない

 

急カーブ矯めよいずこの月の夜も天翔ける闘牛憐れ畜生

 

作業棟G-2の非常階段から見える動力核の瑠璃色

 

いざ疾風うねりねじる世界のみぎわ光で切った切り傷きれい

 

氷点下がこぼれる夜に頬に触れる誰かの不在は嘘かもしれない