草原にいる

雑文を書きます。

先人の知恵

「子供の頃は、大人というのはもっとちゃんとしていると思っていた。子供の頃と何も変わらないまま大人になってしまった自分に愕然とする。」 大人になるとみんな、多かれ少なかれこんなことを感じるらしい。自分のダメさに辟易してしまうようだ。 僕も例に…

チョコレート

帰宅中、自宅の最寄り駅を降りるとチョコレートがひとかけらホームに落ちていた。 家路を急ぐ人々の喧騒の中で、誰の記憶からも抜け落ちたかのようにその周囲だけ誰も通らない空間ができていた。 このチョコレートはきっと、明日の朝にはなくなっているのだ…

本の山

日曜日の朝に銭湯に行く帰り、古本の即売会に寄った。古本屋に足繁く通う以前よりも、見たことのある本や著者が増えてますます楽しくなっている。 13冊で1,750円。状態の良いハードカバーを交えても、1冊150円以下という驚異的な安さである。 本に埋もれて死…

三日坊主

毎日何か文章を書こうと言っておきながら、結局三日坊主で終わってしまっている。 三日坊主であることに慣れすぎて、今更焦りも落胆もない。私は私を許している。

落語を聞く

落語を聞きに演芸場に行きたいと事あるごとに言っていたが、そういえば家でいつでも聞けるじゃないかと、Apple Musicで落語を聞いてみた。 ひとまず公式のプレイリスト「古典落語 ベスト」より桂歌丸の「火焔太鼓」と入船亭扇辰の「目黒のさんま」を聞いた。…

春に

昨日は早速寝落ちて日記を書くことができなかった。春は眠いししかたない。 最近3日連続で自分の住む三鷹市で痴漢が出たというニュースが流れてきた。春のせいだろうか。治安がすこぶる良いと思っていただけに残念である。頑張れ三鷹、負けるな三鷹。

食べ物

毎日1文でもいいので何か書き続けてみようと思う。 職場の同期が「昼食をお弁当にすると食費がかなり減る」と言っていたので、やってみようと思い立ち、お弁当箱を買うお金が惜しくて早3か月がたった。来週はお弁当箱2個分の舞台を観に行く。 今年は夏祭りは…

銭湯

本日も銭湯に行った。自宅を出て3分ほど自転車を走らせた先にある、至って普通の銭湯である。番頭の女将さんと二言三言立ち話をする。目の手術を受ける予定であったが、コロナのせいで延期にしたらしい。 3日前にも銭湯に行った。同じく3分ほど、煙草をふか…

『壺の中にはなにもない』

『壺の中にはなにもない』(戌井昭人著、NHK出版)を読みました。 働く意欲も趣味も恋愛経験もなく、のほほんと暮らしている青年の成長譚です。 そのあまりにマイペースな性格から、家族や職場の人から疎まれている主人公ですが、陶芸家の祖父は彼に理解を示し…

神保町で安部公房の初版本を買えたことが一番楽しかった

シルバーウィークの4日間を利用して、新宿区と文京区の狭間あたりの、エアビーで借りたアパートで生活した。結論から言うとエアビー最高という文章です。 一人暮らしと言うにはあまりに他人様に用意してもらった設備と、あまりに短い期間であったが、ひとま…

倦んだ空に向かって窓も開けずに吐き出す

14歳の冬、京都の清水寺に行った。写真で見た方がきれいだと思った。 その折に町の定食屋さんでうどんを食べた。出汁の香りがよく、とてもおいしかった。わざわざ関西まで来た甲斐があったとそのときは思ったが、後日家に取り寄せた関西風うどんは同じ味がし…

夜明けの景色

湿った草の感触が足に爽やかである。 霧が深い。 湿った空気を触る。湿った空気を吸い込む。草も、土も、石も水を吸って妙に重いのである。重みを持った空気。それでいてひんやりと晴れやかである。 服にしみ込んだ心地よい水の感覚にいつまでも包まれていた…

雨の日だと仮定して書く

時折、においのする文章に出会うことがある。 安部公房からは古いオフィスビルのにおい。黴に侵された空調、昭和に取り残されたタイル床、黄ばんだ壁、過去の栄光にすがり続ける加齢臭。深夜の都会の下水と煙草。 谷崎潤一郎からは華やかに彩られた香水のに…

太陽から地球まで8分

久しぶりに小田急線に乗った。小田急線の古い車両はアンモニアのような臭いがして、体調が悪い日なんかに乗ると最悪だったんだけど、なぜか僕はその臭いが嫌いになれなくて。 就活帰りに乗ったその電車は懐かしいあの臭気を湛えていて、椅子も固いし、床に変…