草原にいる

雑文を書きます。

チョコレート

 帰宅中、自宅の最寄り駅を降りるとチョコレートがひとかけらホームに落ちていた。

 家路を急ぐ人々の喧騒の中で、誰の記憶からも抜け落ちたかのようにその周囲だけ誰も通らない空間ができていた。

 このチョコレートはきっと、明日の朝にはなくなっているのだろう。このチョコレートはこれから、どんな風に、どこへ行くのだろう。そもそも、誰がどんな風にここに落としていったのだろう。

 どこから来てどこへ行くのか、過去も未来も分からないことが多すぎる。それはとても不自由なことだ。どうしたら自由になれるのだろう。