草原にいる

雑文を書きます。

ハッピー・ダック・フルムーン

 

ハッピーがあふれる会社に勤めているので、毎年お年玉抽選会がある。そしてなんと今年は僕が5等の5,000円を当ててしまった。この5,000円で何を買おうかな。気になる新刊本があるし、服もそろそろほしくなってきた。ちゃんと考えて大事に使おう。同期は1,000円当てて秒で競艇に溶かしてたけど。

 

普段は夜も賑わっているはずの井の頭公園が、今夜は不気味なくらい人がいなかった。おかげで満月を心ゆくまで眺めることができた。人はいなかったけど、代わりに池の真ん中に、おびただしい数の鴨が集まって、何やらガーガー言っていた。

 

冬なのに僕の懐は暖かく、公園には人の代わりに鴨がいる、全部が入れ替わってしまった鏡の中の満月の夜でした。

月リセッター

あらゆる「印象」なるものが何もかも嫌になることがある。今日はちょうどそんな日だった。今日出会ったのは例えば「おじさん」の印象、「家庭」の印象、「ヒトコブラクダとキャラバン隊」の印象、そのどれもがたまらなく不快で、でももう大人なのでそんなことはおくびにも出さずにお酒を飲んでごまかした。

空を見上げると中空に月があって、こんな日でも月は透明なので好き嫌いを考えずに僕の心も透明で少し楽になった。

 

公園を散歩していたら昨日まで何もなかったところに古ぼけた掲示板が立っていた。「コロナ陽性者は死ね!!!」みたいなことが書いてあって泣きそうになってしまった。こういう月の晩には不思議なことがよくあるから、次の新月までにはきっと無くなってるといいな。

金欠は敵なんである

王子で南極ゴジラ『ホネホネ山の大動物』を観る。めちゃめちゃ良くて思わず泣いてしまった。

 

夜から国立で大学時代の後輩と飲む。良い夜だった。

代が被ってない後輩も途中からやって来た。そういえば僕も一年生の時、代が被ってないのに目をかけてくれた先輩がいた。その人と同じように色々と言葉をかけてあげたかったけど何も出て来ず、代わりに友達が彼氏にクリスマスプレゼントとしてチロルチョコをあげようとしていた話をした。

 

金欠なので後輩からお金を出してもらってしまった。

だから遠藤は金欠で

モダンスイマーズ『だからビリーは東京で』を観る。モダンスイマーズを初めて見たが、めちゃくちゃ良かった。あと主人公が友達にめちゃくちゃ似ていてウケた。

 

夕方から山口くんと一緒に楽器屋に行く。彼から借りたクラシックギターのメンテナンスをお願いし、三省堂書店で散財し、共栄堂でカレーを食べて帰る。

 

5月と7月の電気代を払えてなかったらしく、急いで払いに行く。危うく1月末で止められるところだった。

結局読まない森鴎外

 書き初めをする。

 今年の目標は「勤倹貯蓄」と「広い視野」。

 

 昼過ぎ、家の近くの八幡さまと、太宰治森鴎外に新年の挨拶をしに行く。太宰治の墓はいつ行ってもウイスキーが供えられていて何だか面白い。森鴎外は昨年一つも読んでいないのでなんだか申し訳なく、「今年は作品拝見させていただきます」と念じた。

 帰りがけに古本屋で椎名誠丸谷才一の本を買う。森鴎外は、、、またの機会でいいか。

 

 明日から仕事が始まる。明日は初日なので3割くらいで十分だろう。

猿に帰った1月2日

 昼過ぎから近所の神社に地元の友人と行く。本当は海の方へ行こうという話だったが、満場一致で面倒臭いということで近所をぶらぶら散歩する。

 夕方から酒を飲む。当初は4人だったが、手当たり次第に声をかけたら11人になった。年末年始暇な人は意外と多い。

 中学卒業以来会っていなかった人もいて、お互いに変わってしまっているだろうと思っていたが、まったくそんなことはなかった。遠藤はいつまで経っても遠藤だなあと言われ、悔しいような、安心するような気分になる。

 地元の友達に会うと猿になる。人間になる前の、下品で粗野な子ども時代に戻る。酒が入ると尚更そうなる。それはある意味楽しいことでもあるけど、内臓がひりひり、気分が濁って心が休まらない。

今年は眼の年

 朝10:30に起きる。初日の出は見逃してしまったが、底の抜けたような青空が窓の隙間から見え、いい元旦になると確信した。今思えば10:30は元旦とは言い難い。

 

 昼過ぎに近所の寺に初詣に行った。禅宗のその寺には幼稚園が併設され、私はそこに通っていた。もう20年以上、毎年そこへ初詣に行っていることになる。

 お参りの後、寺の脇にある普段通らない道を発見して家族と歩いてみる。見たこともない景色が広がっていた。20年も通っているのに知らないことはある。

 

その後、原付を走らせ谷保天満宮にも挨拶に行く。昨年買った破魔矢を焼いてもらい、代わりに達磨を買う。屋台が出ていたので焼きそばを買って食べる。

その後、境内に梅林があることを知って見に行ってみる。梅は咲いてないが山口瞳の石碑があった。

 谷保天満宮にも大学入学以来6年ほど定期的に訪れているが、梅林があることを初めて知った。知り合いの新しい一面を知って、なんだかドキドキしてしまうのに似ている。

 

 2022年、私は新しい眼を手に入れた。慣れた土地の新しい部分を2つも発見したのだから。私はこれから、見慣れたものであっても新しい気持ちで、今までとは違う心で、それを見つめることができる。